今回はレザークラフトで基本となる平縫いについて縫い方で縫い目の違いがどう変わるのか検証してみました。
糸の縫い方に関する疑問?
つい最近レザークラフトの動画をあげられている方の縫い方を見て驚きました。私は今まで最初に参考にした書籍に書いてあった方法で縫っていたのですが、全く違う縫い方で説明されていたからです。
私は糸は銀面からさすものだと思い込んでいたんですが、その動画では必ず裏から針を刺して〜と説明されていたので、今まで自分は間違った縫い方で縫っていたのかとショックを受けたのです。
これはどういう事かと思い、糸の縫い方について自分なりに調べてみたところ、縫い方は1つじゃないという事がわかりました。ということで備忘録的にまとめていきたいと思います。
縫い方ではないのですが、縫い目の綺麗さに影響を及ぼすので、菱目打ちを打った時の形について補足しておきます。
まず、菱目打ちは銀面から打つと思うのですが、縫い穴を開けるとこのような形になります。

銀面からみると縫い穴は右肩上がりの菱形になっています。またレーシングポニーを使った場合、右側に銀面を持ってきて説明されているサイト、書籍もありますので、その場合、奥側に上がった菱形となります。
これを踏まえた上で色々と検証していきます。
どうすれば綺麗な縫い目になるのか?
綺麗な縫い目を出す為に重要なポイントはいくつかあります。まず、大前提として穴が真っ直ぐに空いているというのが1番重要と言ってもいいかもしれません。次に針を通す順番、針を通す位置、引き締める力加減が重要です。そのあたりを中心に糸の縫い方でどう変わるのか検証してみたいと思います。
進行方向・・・銀面から見て右から左に向けて縫い進めます
縫い方①
まず床面から針を刺し左上にテンションをかけ右上に空間を空ける。次に銀面(表)からもう一方の針を空いた右上を狙い刺し、両方同時に引き締める。
縫い方②
まず床面から針を刺し右上にテンションをかけ左下に空間を空ける。次に銀面(表)からもう一方の針を空いた左下を狙い刺し、両方同時に引き締める。
縫い方③
縫い方1と同じテンションのかけ方で、指す順番を銀面→床面に変えて縫う。
縫い方④
縫い方2と同じテンションのかけ方で、指す順番を銀面→床面に変えて縫う。
この4通りの縫い方でクロムなめしの革を貼り合わせて3種類の糸(ポリエステル茶、麻糸白、ポリエステル黒)を使い縫い比べてみました。

縫い方を図に表すとこんな感じです


ここで検証したいのは以下の3点です。
- 銀面から縫うか床面から縫うかでどう変わるのか?
- 糸の種類や太さによる違いはあるのか?
- 最初に通す糸のテンションをかける方向でどう変わるのか?
1.銀面から縫うかトコ面から縫うかでどう変わるのか?
縫い方①と縫い方③、縫い方②と縫い方④がテンションの掛け方は同じで、針を刺す順番を銀面からか床面からかで比較しています。
当然と言えば当然なのですが、どちらの比較も銀面と床面を入れ替えると同じような縫い目になる事が分かるかと思います。つまり、銀面から刺すか床面から刺すかは縫い目にほとんど影響しないと言えます。
2.糸の種類や太さによる違いはあるのか?
今回は0.5ミリのポリエステル(黒)、1ミリの麻糸(白)、1ミリのポリエステル(茶)を使用しました。
糸の細さに関しては、斜めのステッチに違いがあるように見えます。1ミリの糸を使ったステッチに比べると、斜めの出方が控えめといった印象でしょうか。あまり斜めのステッチを目立たせたくない時に細めの糸を使うのが良さそうです。
3.最初に通す糸のテンションをかける方向でどう変わるのか?
今回は斜め上方向にテンションをかけ左右でどう変わるかを検証してみました。縫い方①と縫い方②、縫い方③と縫い方④がこれに当たります。
どちらも銀面は斜めのステッチと直線的なステッチに分かれました。つまり、テンションをかける方向で、縫い目を変えられるという事です。
また、床面については微妙にステッチに違いがありますが、銀面ほど目立った違いは見られませんでした。これはおそらく、菱目打ちで穴を開けた時、銀面の方が穴が大きくなり床面の方が穴が小さくなる為だと考えられます。つまり、斜めのステッチをより強く出したい場合、そちらの面から菱目打ちで穴を開けるのがポイントだということです。
ヌメ革を使った場合どうなるか?
縫い方③と縫い方④で革をクロムなめしからヌメ革に変えて比較しました。

結論からいうと縫い目に関してはそれほど大きな差はありませんでしたが、唯一床面のステッチに多少の違いが見て取れました。クロムなめしの場合、穴あけを少し失敗すると縫い目も少しがたつきますが、ヌメ革の場合はそれがありません。クロムなめしには裏地を貼ったので、それが影響したのかもしれませんが、相対的にヌメ革の方が綺麗なステッチに見えます。
おそらくヌメ革は穴をあける際、硬いので床面まで真っ直ぐ穴をあける事が出来るのに対し、クロムなめしの革(特に柔らかい革)はどうしても伸びやすいので、床面で穴の位置がずれやすいのが原因だと思われます。単純に私の技術不足と言われてしまえばそれまでですが、ヌメ革の場合、がたつきがなかった事を鑑みると、やはりヌメ革の方が綺麗な縫い目が出やすいと言えます。
縫い目をコントロールする
ここまで色々と比較してきましたが、実際の所、どの縫い方で縫うのが良いか私なりの結論をまとめたいと思います。
菱目打ちで穴をあけた形から考えると、テンションは銀面から見て右上か左下にかけるのが自然かと思います。そうすると対角に針を通しやすいので糸を針で刺してしまうこともないでしょう。
銀面から針を入れるか床面から針を入れるかについては、どちらでも良いですが、穴をあけた方から入れると針が通りやすいので、個人的には銀面から穴をあけ、銀面から針を刺すのが良いかと思っています。
糸・革による違いについては縫い方とは少し論点がずれますが、ステッチをより目立たせたい場合は太い糸を使用し、床面の縫い目も綺麗にしたい場合は、ヌメ革を使うと失敗が少なくなります。
斜めのステッチを出すか、直線的なステッチにするかは人により好みが分かれる所かと思います。作品によっても変わって来るかもしれません。その時々で出したいステッチをコントロールしてみましょう。
銀面を直線的なステッチにしたい場合
銀面から針を刺し、進行方向(右下)にテンションをかけ、空いたスペースに床面から針を刺し、同時に引き締める。
銀面に斜めのステッチを出したい場合
銀面から針を刺し、進行方向とは逆(右上)にテンションをかけ、空いたスペースに床面から針を刺し、同時に引き締める。

いかがでしたか?
縫い目が綺麗に見えると作品の完成度もレベルアップした感じになりますし、縫い目を変えたいなと思った時に縫い目をコントロール出来ると作品の印象もまた違ったものになるかもしれません。他にも色々縫い方はあるので自分に合った縫い方を見つけてみましょう。
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